愛犬ハナ、旅立つ

 

9月12日、我が家にとってかけがえのない大切な一時代が静かに幕を閉じました。

ハナの直近の様子をオールドレンズを通して振り返ります。

語り手はハナ自身です。

 

子犬だった私は17年前、家族として迎えられ、ハナと名付けられました。

 

同じ年月を重ねているのに、どういうわけか私だけ時間が進むのが早くて。当時小学生だった兄上二人をあっという間に追い越し、やがては父上、母上をも追い越し、気付けば私がいちばん年老いた存在に。

 

前庭疾患の発作に見舞われたのが一昨年6月。失った平衡感覚は、元に戻ることはなく、何かにもたれていないとヨロヨロと倒れてしまいます。

 

壁伝いに歩こうにも部屋の角で行き止まったり、家具の隙間に嵌まり込んでしまったり。

 

踏ん張って立っていることすらままならないので飲んだり食べたりするにも補助が必要です。

 

そんな中、今年5月に車椅子がやってきました!

 

自分の脚で歩いているような感覚がよみがえり、嬉しかったな。

 

長時間歩き続けて疲れてそのまま寝てしまうことも。

 

だけど…。同じ場所をぐるぐる回るばかりでだんだん飽きてきたのも事実かな。

 

腰の部分までリードで補い、倒れないようバランスをはかりながら家族の人たちが代わる代わる一緒に歩いてくれる。「一緒に歩いてよ」と訴えると、いつでも応じてくれる。

 

そばで見守られて歩くのがやっぱり一番。昔の散歩みたいで一番。

 

兄上二人にはよく遊んでもらったなあ。最近は心配かけてばかりだけど。

* 画像は長男のほうです。

 

父上はおかしな人。今も何やら這いつくばってカメラをゴソゴソしてる。

 

カーテンの向こうはサンルームになっていて、お気に入りの場所でした。

 

日が当たって気持ちいいんです。

 

自分で起き上がるのも一苦労だけど、歩きたい欲求は尽きることがなく。

 

母上は一晩中でも一緒に歩いてくれて。

眠くなったら添い寝をしてくれて。

 

耳元で何度も「ありがとう」って囁いてくれた。

最後に私から、ありがとう。

 


生前、オールドレンズで撮った最後の写真です。

なんて安らかな寝顔…。